正規直交基底による曲率計算

正規直交基底の導入

何らかの方法で正規直交基底 \(\{e_1, e_2, e\}\) を作ったとする。 \(e_1, e_2\) は接平面を張る基底ベクトルであり、\(e\) は接平面の法線ベクトルである。

\[\begin{split}e_1\cdot e_2 = e_1\cdot e = e_2\cdot e = 0 \\ ||e_1|| = ||e_2|| = ||e|| = 1\end{split}\]

4つの接ベクトル \(p_u, p_v, e_u, e_v\)\(e_1, e_2\) の線形和として記述できる。

\[\begin{split}(p_u\ \ p_v) &= (e_1\ \ e_2)\left(\begin{array}{cc} a_{11} & a_{12} \\ a_{21} & a_{22} \end{array}\right) \\ &= (e_1\ \ e_2)A \\ (e_u\ \ e_v) &= (e_1\ \ e_2)\left(\begin{array}{cc} b_{11} & b_{12} \\ b_{21} & b_{22} \end{array}\right) \\ &= (e_1\ \ e_2)B\end{split}\]

ここで行列 A は接平面に内在的な量であり、行列 B は法線ベクトルに依存した外在的な量である。

これらを用いると次式が得られる。

\[\begin{split}dp = (p_u\ \ p_v)\left(\begin{array}{c}du \\ dv\end{array}\right) = (e_1\ \ e_2)A\left(\begin{array}{c}du \\ dv\end{array}\right) \\ de = (e_u\ \ e_v)\left(\begin{array}{c}du \\ dv\end{array}\right) = (e_1\ \ e_2)B\left(\begin{array}{c}du \\ dv\end{array}\right) \\\end{split}\]

ここで

\[\begin{split}\left(\begin{array}{c}\theta^1 \\ \theta^2\end{array}\right) = A \left(\begin{array}{c}du \\ dv\end{array}\right)\end{split}\]

と置くと次式が得られる。

\[\begin{split}dp &= (e_1\ \ e_2)\left(\begin{array}{c}\theta^1\\ \theta^2\end{array}\right) \\ de &= (e_1\ \ e_2)BA^{-1}\left(\begin{array}{c}\theta^1\\ \theta^2\end{array}\right) = -(e_1\ \ e_2)P\left(\begin{array}{c}\theta^1\\ \theta^2\end{array}\right)\end{split}\]

ただし \(P = -BA^{-1}\) と置いた。 この結果を用いると、2つの基本形式は次式となる。

\[\begin{split}\mathrm{I} &= ||dp||^2 = \theta^1\theta^1 + \theta^2\theta^2 \\ \mathrm{II} &= -dp\cdot de = (\theta^1\ \ \theta^2)P\left(\begin{array}{c}\theta^1\\ \theta^2\end{array}\right)\end{split}\]

以上より行列 \(P\) は正規直交系におけるヘッセ行列となっているため、ガウス曲率 \(K\) と平均曲率 \(H\) は次式となる。

\[K = \det P, \quad H = \frac{1}{2}\mathrm{tr}P\]

曲率の確かめ

上記のガウス曲率と平均曲率の式についてきちんと確かめてみよう。

基本形式の行列 \(G_{\mathrm{I}}, G_{\mathrm{II}}\)\(A, B\) を使って次のように書き換えることが出来る。

\[\begin{split}G_{\mathrm{I}} &= (p_u\ \ p_v)^T(p_u\ \ p_v) \\ &= (p_u\ \ p_v)^T(e_1\ \ e_2)A \\ &= QA \\ G_{\mathrm{II}} &= -(p_u\ \ p_v)^T(e_u\ \ e_v) \\ &= -(p_u\ \ p_v)^T(e_1\ \ e_2)B \\ &= -QB\end{split}\]

ただし

\[Q = (p_u\ \ p_v)^T(e_1\ \ e_2)\]

と置いた。

これを用いると \(P\) は次式となる。

\[\begin{split}P &= -BA^{-1} \\ &= Q^{-1}(G_{\mathrm{II}}G_{\mathrm{I}}^{-1})Q\end{split}\]

行列式やトレースは相似変換に対して不変であるから、次のことが分かる。

\[\det P = \frac{\det G_{\mathrm{II}}}{\det G_{\mathrm{I}}}, \quad \mathrm{tr} P = \mathrm{tr} (G_{\mathrm{I}}^{-1}G_{\mathrm{II}})\]

前章「パラメータ表示された曲面」で得られた曲率の式と比較することにより、前項の式が確かめられた。

微分形式

\[\begin{split}\left(\begin{array}{c}\omega^1\\ \omega^2\end{array}\right) = P\left(\begin{array}{c}\theta^1\\ \theta^2\end{array}\right)\end{split}\]

と置いて \(\omega^1\wedge\omega^2\) を計算すると、次のようにガウス曲率を得ることができる。

\[\begin{split}\omega^1\wedge\omega^2 &= (p_{11}\theta^1 + p_{12}\theta^2)\wedge(p_{21}\theta^1 + p_{22}\theta^2) \\ &= (p_{11}p_{22} - p_{12}p_{21})\theta^1\wedge\theta^2 \\ &= (\det P)\theta^1\wedge\theta^2 \\ &= K \theta^1\wedge\theta^2\end{split}\]

これは次章で説明する第2構造式へとつながっていく。